志村正彦についてとにかく語りたい

※あくまで主観的な文章です。

「ミュージシャンとは一体何者なのでしょうか」


彼はそんな疑問をおそらく、この世を去るまで思ってたんじゃないかなあ。


タワーレコード30周年、the pillows20周年、


ストレイテナー10周年などアニバーサリーが続く今年、


フジファブリックは五周年を迎えていた。


その中で、実に悲しい形見として、彼は

「東京、音楽、ロックンロール」

という本を出している。




東京、音楽、ロックンロール

東京、音楽、ロックンロール




これには過去にHPで掲載された「志村日記」の総集編以外にも、
今の志村の思うことが補足されているのだが・・・


とにかく合間合間に「モテると思ってた」「恋人はいませんが」



というのが出てくる笑



彼もまたよくある「音楽やるとモテる」と思ってた、
かつ今でも*1時折「まだモテない?」とか思っちゃう人間だというのが良く出てる。



なんだろ、この本を読むと、「ああ、この人も本当に音楽がなければただのアウトサイダーなのだな」と、
そう思わせる類の人種であることがありありとわかるんだ。


ただ音楽のことを考えて悩んで、首を傾げながら演奏し続けて、
試行錯誤の中でどうやら少しずつ答えを得ていくような、
そんな過程がこの文章たちの中に描かれている。

そして彼は、故郷で凱旋ライブを見事に披露し、号泣しながら
「茜色の夕日」を歌い上げている。*2


8年の歩み。歌い続けて、眺め続けた夕日って、どのぐらい綺麗なんだろう?


その果てに。


2008.09.30の日記より


「間違いなくフジファブリックの最高傑作をつくりつつある。
 正直思うのは、『今、死ねねえなあ』という使命感です。」




そして、実際に"クロニクル"が発売されたあとのこの本の結びでは

"『満足した』『もうOK』なんて思っていない"

というくだりで、終わっている。


アルバム「TEENAGER」は自分の「音楽に捧げ、失われた10代」を
取り戻す、そういう決意があると彼は言っていた。


じゃあ、失われたこれからを何で埋める?

*1:この表現が適切ではないことが本当に悲しくて

*2:その模様はシングル"Sugar!!のDVDに収録されています"