※あくまで主観的な文章です。
「ミュージシャンとは一体何者なのでしょうか」
彼はそんな疑問をおそらく、この世を去るまで思ってたんじゃないかなあ。
タワーレコード30周年、the pillows20周年、
ストレイテナー10周年などアニバーサリーが続く今年、
フジファブリックは五周年を迎えていた。
その中で、実に悲しい形見として、彼は
「東京、音楽、ロックンロール」
という本を出している。
- 作者: 志村正彦
- 出版社/メーカー: ロッキングオン
- 発売日: 2009/05
- メディア: 単行本
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これには過去にHPで掲載された「志村日記」の総集編以外にも、
今の志村の思うことが補足されているのだが・・・
とにかく合間合間に「モテると思ってた」「恋人はいませんが」
というのが出てくる笑
彼もまたよくある「音楽やるとモテる」と思ってた、
かつ今でも*1時折「まだモテない?」とか思っちゃう人間だというのが良く出てる。
なんだろ、この本を読むと、「ああ、この人も本当に音楽がなければただのアウトサイダーなのだな」と、
そう思わせる類の人種であることがありありとわかるんだ。
ただ音楽のことを考えて悩んで、首を傾げながら演奏し続けて、
試行錯誤の中でどうやら少しずつ答えを得ていくような、
そんな過程がこの文章たちの中に描かれている。
そして彼は、故郷で凱旋ライブを見事に披露し、号泣しながら
「茜色の夕日」を歌い上げている。*2
8年の歩み。歌い続けて、眺め続けた夕日って、どのぐらい綺麗なんだろう?
その果てに。
2008.09.30の日記より
「間違いなくフジファブリックの最高傑作をつくりつつある。
正直思うのは、『今、死ねねえなあ』という使命感です。」
そして、実際に"クロニクル"が発売されたあとのこの本の結びでは
"『満足した』『もうOK』なんて思っていない"
というくだりで、終わっている。
アルバム「TEENAGER」は自分の「音楽に捧げ、失われた10代」を
取り戻す、そういう決意があると彼は言っていた。
じゃあ、失われたこれからを何で埋める?