The MIRRAZしるぶぷれっ!!!ツアー

「日常に寄り添う音楽」なんてフレーズをたまに目にする。
思い浮かべるのは、陽だまりの中でうつらうつらしながら流れる音楽か。


あるいは、受験や試験、仕事に邁進する人を鼓舞する音楽か。


はたまた、やはり人間だもの、ラブソングだろうか。


色々あると思うし、それが当たり前だ。


まだファン歴三年程度の僕ではあるが、ミイラズは僕にとってはそれだ。
音楽性というところで言えば、メジャーデビュー直後の「僕らは」辺りから好き。
今回のDTMをぶち込んだ新機軸!みたいなノリも、ミイラズらしさを失っておらず素晴らしいと思う。


ただ、どうもここがファンとフェスでしか観ない層へ伝わらないところかと思うが、
歌詞を読むと攻撃的なだけでない不器用な優しさが隠れているんだよ、と。


特に、メジャーレーベルでなくなって縛りがなくなったしるぶぷれっ!!!より、
Opportunity辺りのが成熟性を感じる。


世界一キレイなもの、やこの惑星のすべてに描かれる
「君がいればこんな腐った世界でも美しい」ないしは
「君よりキレイなものなんてない」はともすれば
the pillows山中さわおにも通ずるリリックではなかろうか。


どうもOpportunityについて今振り返れば、外に対して過剰な毒が
制約的なものから吐けないことが影響しているのか何なのか、
かなり自分の内面への掘り下げ、自分への客観視、
そして「君」に対する感謝で構成されている気がするのです。

「プロタゴニストの一日」「スピンオフ」


はいずれも自分が主人公だとしても、ちょっと人生無理ゲーじゃね?
という訴えから、それでもやるしかねーな、と帰結する。


一部の意識高い勝ち組とは違う価値観なのかもしれないが、
紛れも無く自分を含めた大勢にとって、「僕の歌」だなあと感じる。


そして「i luv日常」で日常に戻ってくる。


僕もデュラララの彼じゃないけど、やはり非日常への憧れみたいなものはあり、
実に幸いな事にライブに行く趣味は非日常への扉の向こうだと思っていて、
それなりに楽しく週末を過ごさせてもらってる。



それでも終演はあり、最終の新幹線は僕を日常へ帰してくれる。


ただ、当たり前が、日常が、煩わしくてウンザリするけれどもハッピー、
そういうことを決して上からではなく伝えてくれる気がこの辺の曲からはしてる。


最新作しるぶぷれっ!!!は溜まっていたフラストレーションを解き放ち、
かなり本音を全開にしていると思うんだ、「土曜の原宿マジでクソ」とか。

ただ、これまた山中さわおが言ってたんだが、
「包み隠さないということは自分の家に人を呼んでわざわざ排水口を見せる行為とは違うんだ」
みたいな。


僕も何処か、我慢しないこと、その結果で人と決別してもそれは必然だと、そう思っていた。
今でも必然の決別はあるとは思うが、でも、包み隠さないこと、偽らないこと、
それがイコール誠実なんてことはないんだよな、と今は思っている。


矛盾するようだが、誠実であるために赦し、誠意を伝えるために嘘をつく。


時に相手への怒りの向き先を社会や自分の内面へ向ける。
それは誤魔化している訳ではなく、偽りない自分の願望を叶えるための手段である、と。


なんだかそう思う。ま、思い通りには行かないけれど、それがこの惑星のすべて。


ミイラズ@Electric lady land


最高でした、ありがとう。