仮面ライダーブラックサン ネタバレ感想

評価するのが難しい。

 

途中までは、本当に最終話の真ん中までは『悪い評判も聞いてたけど悪くなかった』と書くつもりだった。

 

俳優陣の演技力の高さ、

特に

ルー大柴濱田岳、吉田羊あたりは凄かったと思う。

 

ヘブンを食う食わないで老化をコントロール出来る設定も秀逸で、

過去と未来を顔が同じキャラと違うキャラで混在する劇をよく描けてたと思う。

 

アマゾンズはなんだかんだ言って、

『アマゾンは人を襲う』の一点を持って駆除やむなしではあったが、

ブラックサンの怪人は積極的に人を食う描写がないので、より現代社会の差別に近い分、踏み込んでる。

 

(なんか見た目でみんなわかるのは目印とかつけてるんですかね?)

 

総理の祖父も総理で、寺田農麻生太郎感出しまくりで、

731部隊を彷彿とさせる旧日本軍の悪事とか、

(ただし昭和の特撮においては王道設定ではある)

与党が国民を馬鹿にし腐ってる(ついでに野党は無能)、

総理に対するテロも世直しの為ならやむなし、

学生運動の美化、色々と2022年の社会情勢に

鑑みると際どい描写はありつつも、

『差別と戦うことの難しさ』『被差別者になってみなければ本当のことはわからない』

とか色々と考えさせられる場面は多い。

 

真の主役と言える平澤宏々路の演技も素晴らしい。

レオンの頃から『おじさんが少女を守る』はテッパンだったが、

守られてばかりでなく戦うのは令和だなと思う。

 

最後は葵が総て、友人両親仇に恩人まで

本当に全て失ってしまうのは流石にやるせない。

ビシュムが最後まで宣言通りちゃっかり立ち回るのも良い。

 

『ブラックサン!』

『ブラックサン!!』

『ブラックサーーーン!!』

は笑わせにきてるだろ

 

『差別するような店に二度と来るか!

 

  死ね!!』

 

このセリフが実に問題の難しさを表してるよね。

何気ないけど、この物語の核の一つ。

 

というあたりが最終話中盤までの感想

 

 

最後…いきなりイデオロギー丸出しの陳腐な終わり方したねえ…

戦争法案を宣う悪の総理に対抗するやつも結局

平和的な募金活動を放棄して暴力を行使しようとしている、っていう皮肉なんですかね?

 

仮面ライダーは人間の自由のために戦う』

のイズムの結果があれなんだろうか。

 

 

どう見たって『世の中は話し合いや選挙じゃ変わらなねえから武器を取るしかないぜ』

ってのは葵、光太郎と信彦の戦いから何を学んだんだ、一体。

 

ガンダムユニコーンラプラス事件も、

結果の描き方は近しいものはあったけど、こんな

テロまっしぐらみたいなオチとはやっぱり見せ方が違ってたと思うなあ。

 

 

どう終わらせたって、『テロも世直しには仕方ねえな』と

思ってしまう視聴者は出るだろうし、

人の数だけ正義はあるのだからそれはそれ。

重信房子も出てきたらマスコミは英雄扱いするしな。

 

うん、色々な正義はあっていい。

 

ただ、あんな風に『彼女の得た正義はこれです』

って答えみたいなの出してきて終わるのは…

お前らが爆弾やナイフで殺す奴らの命も地球より重いんじゃないんですか?

 

結局言ってわからん悪党はぶん殴れ!ですか?

 

ああいう救いのないラストを示して敢えて考えさせようとした、という説も目にしたけど、

考えさせるなら学生運動の負の部分も描くでしょ。

 

確かに内ゲバ殺人の描写こそあったけど、

クズ野郎の総理の孫誘拐以外は目立って過激な活動が『敢えて描かれてない』と思う。

 

二人で行動してても明確に葵の方は殺人してなかったりね、上手いこと観る側の好感度や感情移入具合は操作してる印象でした。

 

この作品を受け入れられない人はレイシストみたいなコラムも観たけど、

この作品で描かれた歪んだ正義そのもの、って感じ。