スパイダーマンの今。

スパイダーマン ノーウェイホームを観てきました。ネタバレだらけの感想を以下に記します



原作は読んでなくて古くは
MARVEL VS CAPCOMで存在を知り、
映画は全部観ててPS4のゲームはDLCまでクリアした程度で言えるのか、
(歴史あるコンテンツはいくらでも諸先輩いるからさ)
みたいな言い訳を先に述べてから

スパイダーマンが好きで良かったな、本当に。

MCUに単体作品より前に現れたり、SONYとDisneyの確執があったり、
泥臭くヒーローとして成長していく過去のサム・ライミアメイジングと比べてもどこか『違う』感じがあった。

メイおばさんは若くて明るく、
ピッコロさんみたいなアイアンマン師匠がいて
(別離はあるものの。)、
スターク・インダストリーズからの支援を受けて、
アベンジャーズの一員として色々なヒーローと交流があり、
宇宙規模の活躍を早期に果たしてた。

(それが悪いとかトム・ホランドが嫌とかじゃない、むしろ好きです)
ただ、『今のスパイダーマンはちょっと明るいな』っていう。
ガンダムだとZZとか、平成ライダーだと電王あたりの。
(そして上記いずれも後半はシリアス)

前作の最後で正体が判明したときも
『なるほど、オープンな活躍になるのか、まあアベンジャーズだし』
ぐらいの受け止め方をしてたんだけど。

いや、今までのが全部序章だったのではないかという『スパイダーマンになる物語』だった。

『大いなる力には大いなる責任が伴う』という命題があまりに重い形で
ピーターにのしかかり、とてもキツい支払いをすることになってしまったな。

今までの『迂闊な悪心』『最善を尽くしても全ては救えない』とも違う、
元々はピーターの楽して魔術に頼った行いからとはいえ、
『決して義務じゃない善意』の果てに『善意の源流』を失ってしまう展開は
ちょっと深過ぎるし重すぎる。

あの時、メイおばさんは『ごめんね、私のせいで』と言って、
ピーターが『そんなことないよ、メイおばさん』と
返すような気がしたんだけど、全然違ってた。
メイおばさんは最期まで『人の心の本質は光』だと信じていた。

そして異世界からのピーターはもしかしてな期待はしてた、
ただストーリーと演出が上手い。もう、中学生が考えた同人誌みたいな
(褒めています)ことを真剣にギャラを出して有名俳優を招聘してやっちゃうからスケールが違うよ。
日本だと仮面ライダー佐藤健がゲストで少し出てくれただけで劇場で悲鳴が出たんだから。

トビー・マグワイアのピーターが復讐を止めるところ、凄く良かった。
彼は奪われたもの、奪った者を見つけた者の
気持ちがとても良くわかっていたから。

そして、予告編でMJが落ちるシーンを見た時は
アメイジングとの対比か、ベノムでもやったしな』と思ってたら
アンドリュー・ガーフィールドが出てきたら期待しちゃうよね。

果たして予測通り落ちたMJを救うのはアンドリューのピーターだった。
その時のやるせない表情に僕は何かしらの賞をあげたい。
もしも彼のバースに改心したヴィランが戻ったらグエンの運命もあるいは変わるのだろうか?

そして、それだけの偉業を薦めたメイおばさんは亡くなり、ピーターは雪の中に独り。
(一瞬メイおばさんは無事、と思わせる演出も心憎い。意地悪で上手い。)
従来映画の中で最も光の中にいたトム・ホランド
スパイダーマンが暗がりから、親愛なる汝の隣人として再出発する皮肉。

ジェイムソンがスパイダーマンが正体を明かそうが、
秘めようが文句しか言わないのはメチャクチャ現代社会らしい。
今までの作品でチラホラ出てきた『俺たちのスパイダーマン』のシーンが
ないのも救いが少ない印象を覚えた。

勿論、MCUは続いていく。ヴェノムのバースとまた交わる時もあるかも知れない。
その中でまたSpider-Man is back!は訪れるかも知れない。

ただ今はダークナイト鑑賞直後みたいに、孤独なヒーローの背中を見送りたい。
ありがとうスパイダーマン