ものすっごく感想が書きにくい映画である。
ところどころ、鋭く輝く要素はある*1が、
人に勧められる映画ではないし、これにレイトショーだの
レディースデーだのといった割引なしのフルプライス払えるかと言うと躊躇する。
僕は昭和ライダーは流石にリアルタイムではなく、仮面ライダーSPIRITSから入ったクチであり、
平成ライダーは完全に馬鹿にしていたがWから虜になり、今ではディケイド以降＋555+カブト＋電王を抑えている。
しかし、だ。全体的に雑。いや、ライダー大戦とか、仮面ライダー3号とか、
まあ、お祭りシリーズは大体雑になる。
ライダーたくさん出てくるから仕方がない。
しかし、この仮面ライダー1号、1号とゴーストとスペクターしか出てこない。
ぶっちゃけ、この脚本だとスペクターすら必要ない。
なのにこの雑さ加減・・・・唐突に出てくるノヴァショッカーも何故離反したのか良くわからないし、
地獄大使を味方サイドに持ってきたい以外にショッカーとノヴァショッカーに分かれた内ゲバみたいにする必然性がない。
ヒロインが何故狙われるのか、も「まあ、わかるような、わからんような」レベルの理由であったり、
結果的に生け贄みたいになるでも操られて敵になるでもなく解放されてしまったり。
インテリぶって企業として経済を支配すると豪語しながらノヴァショッカー、
いきなり日本中を停電させるという国家に対する宣戦布告から入る始末。
一応エネルギーを日本国に対して契約の上で供給するための仕込み、らしいが・・・
もはや経済は関係ない。
さらに、日本中停電にさせておいて自分たちは電気使っちゃってるもんだからアジトがバレる。
なんでこういうところだけ昭和の仮面ライダーっぽいんだ！
おっちゃん殿に「やっつけてこい」と言われて素直に出動するゴースト＆スペクターに草。
本郷猛の不死鳥の如き演出も唐突過ぎてこれまた雑。
皆の気持ちに応えて、ならもっといろんな演出はあっただろうに。
いやね、尺の都合って思うでしょ？でもね、竹中直人のカラオケとかすげー尺使うのよ。
あと、教師に潜入してどうこう、とかでも尺使うのよ。
この作品が一番いけないのは、結局主役を仮面ライダー1号にしきれなかったこと。
本郷猛が画面に映っていない間、どれだけ過酷な日々を過ごしたのかを語る。
技の1号と呼ばれた多彩な技で魅せる。
ヒロインが敵に狙われる理由をもうちょっと丁寧にする。
生命を繋ぐ、その言葉通りの復活劇を描く。
黒幕らしき眼魂をショッカーと絡め、因縁を深くする。
色々なやり方で本郷猛を掘り下げることは出来た。
では、仮面ライダーゴーストと1号のダブル主役か？
これも否。従来のお祭りシリーズはちゃんと
当時の主役ライダーにも花を持たせていた。
鎧武が1号ロックシードで敵に止めを刺したり、
マッハがファイズのアクセルフォームと渡り合ったり。
この作品のゴーストとスペクターは本当に噛ませ犬。
平成ライダー眼魂でマトモに倒したのが戦闘員だけってどういうことよ？
宇宙まで行って倒したのが戦闘員よ？バインドとビッグの魔法使って倒したのが戦闘員よ？？
例えばゴーストが主役で、1号を超えさせたいなら、
1号が死して眼魂となり、ゴーストが装備したうえでキックしてからの復活、とか。
あるいはゴーストと言うかタケル殿は元々死んでいるわけだし、
魂を燃やして一矢報いてから1号がライダーキックとか。
最後に帳尻合わせみたいにゴーストとスペクターがダブルキックしてから
1号がライダーキック！とか雑なんだよ、フィニッシュが・・・
今回最後の敵が変な巨大化したやつじゃないから、
丁寧なバトルを描くのに最適だったのに・・・・
敵の幹部三人なんだからゴーストとスペクターで一人ずつ引き受けても問題なかったのに・・・
何故内ゲバで生身で良い演技してた長澤奈央が倒れる・・・・
カノンもアラン様も削るならユルセンなんてもういなくて良かったし。
なんて言うか取捨選択が絶妙に下手くそすぎる。
「平成ライダーと昭和ライダーは水と油」か？これは違う。
平成VS昭和のXライダーと555の交流を見ればわかる。
志が同じなら、価値観や時代を超えてわかりあうことは出来る。
なぜなら、同じ仮面ライダーだから。
過去作で描けたものがこれだけキャスト減ってるのに何故上手くできないのか・・・
地獄大使の最後の執念と本郷の独特の返し、長澤奈央のアクションと美貌*2、
そして何をしても絵になる藤岡弘、と魅力的な原石はゴロゴロしてただけに・・・
そうだね、「仮面ライダー」が好きな人がこうしてブツブツ言うために観るのが一番良いような。
本郷猛が好き！というだけでもゴーストが好き、でも多分辛いんじゃないかと思う。
それでもラストの本郷猛のメッセージは受け取る価値が有るかなー。
難しい、この映画の評価は難しい。
