the pillows 横浜アリーナ 2019.10.17

気づいたらthe pillows武道館公演から10年、渋谷AXの15周年公演からは15年経っていた。

ファン歴は多分17年ぐらいだろうか。ピロウズの場合別に自慢するほど長くも、

にわか呼ばわりされるほど短くもないって感じか。

 

もうすっかりライブレポを書かなくなりました。

Twitterに慣れると本当に長文を書くスキルが低下するなあと思う日々です。

 

ただ、やはりこればかりは記憶がなるべくあるうちに

書き残したいので、久々に書きます。

 

まず、ピロウズの武道館公演というのはなんだろう、

「生涯ベストのライブ」と表現するには安っぽいと思ってしまうほど、

特別だった。セットリストがどうとかじゃなくて、

一つの奇跡体験と言えばいいのか、現在進行系で伝説*1が出来る様を見ていた気持ちと言うか。

 

東京ドームシティホールの25周年はバンドの再開から間が短かったこと、

もしかしたらその時にはすでに鈴木淳がサポートから離れることが

内定していたかもしれないことなんかもあるかもしれないけど、

なんというか、まあまあのライブだった。

 

ただ、それが嫌とか残念というより、

 

「もう武道館を超える(この表現はやはりナンセンスだが)ライブに出会えることは

 ないかもしれない。でも、自分は十分にピロウズから貰っているのだから、

 あとは彼が、彼らが楽しく幸せに演奏できていればいいんじゃないか」

 

そういう心境だった。ライブに行って好きな曲が聴けたら当然嬉しいのだが、

そうでなくても、セットリストがどうであっても、良いライブが出来ていて

幸せそうな姿が見られたらそれでいいと。もしくは自分の好きなバンドと

対バンするような特別な夜に駆けつけられたらいいと。

 

誤解しないでいただきたいのは、それでライブに行くのが面倒になったとか、

バンドに対する活動のモチベーションが低下しているのかと言うと、

全盛期のような情熱の迸りはないのかもしれないが(笑)、

そうではないということ。Nook in the brainツアーは三度行っているし

(もともと一つのツアーは多くて2回程度、このときは岐阜と名古屋が2回)

アルバムもペナルティーライフからREBROADCASTまで発売日買いしている。

 

なので、30周年のアニバーサリーが海外公演と言われると

困っていたかもしれないが、そうでなければ東京ドーム本体だろうが、

生まれた土地北海道でだろうが、無条件に行くつもりだった。

 

会場の予想は武道館アゲインから幕張メッセ

横浜アリーナさいたまスーパーアリーナなど、

色々と想像していた中の一つだったので驚きもなく、

916の幕張メッセをキャパが少々少ないから蹴ったという点には

少し勿体なさを感じたものの、すんなりと受け入れた。

 

4枚も申し込んだからかスタンディングは当たらずアリーナ指定席という名の

スタンド席になったわけだけれども、大型フェスやバンプアジカンなどの

ワンマンでスタンドから見る景色がそれはそれで素晴らしいことをわかっていたので、

特に残念ではなかった。あと、僕らもうオジサンだから開演待ち座りたいしw

 

一緒に行くメンバーも一人の枠だけは少々難航したが、

最終的に15周年、20周年、25周年の全てでなくても

ご一緒したメンツ、気心がしれたメンツで固まったので、

例え一人だろうが行くんだけれど、何の憂いもなくなった。

 

---

 

5年前もそうだったが、行きの新幹線から

開場までの暇つぶし観光、早めの夕食まで、

ずっと楽しかった。まあ楽しい日に楽しいメンツと楽しいことして

楽しくないわけないんだが。

 

会場入りだけは用を足したりなどしてて僕だけ遅れて入り、

横浜アリーナは初めてではないものの、やはり「ピロウズの」

という枕詞(二重の意味で)がつくことに少し圧倒されつつ、

自分の席へ着いた。最初の10分ぐらいはさっきの晩餐の延長線上の

他愛ない会話を続けていたのだが、ふと一人が黙ると、

なんだか心はソワソワ、膝が少し震えるような感覚が

多かれ少なかれ自分を含めた四人から感じられた。

 

この日を迎えられるよう色々調整したとは言え。

去年の今頃は酷い風邪を引いていたことなんかも思えば、

先々月まで転職活動が難航していたことを思い出せば、

とうとうこの日のこの時間を迎えることのドキドキは隠せるはずもなく。

 

「19時だぞ」「いつも定時に始まらねえだろ」という会話だけがいつも通り響く。

 

客電が落ちる。いつものKelly's Dackが手術室へ向かう患者のシーンを

思い出させながら・・・響くわけではなく。

 

アニバーサリーらしく、1枚の写真から始まった。

古い家の写真と赤ちゃんや子供の写真。母親らしきナレーション。

 

最初は山中さわおの話かな?と思ったが、

あまりに今のままの顔の佐藤シンイチロウの写真に開場は笑いに包まれる。

 

音楽の道へ進むと決めた息子に対する母の気持ち、そういうものが

Peeちゃんも同じくなのだが語られて、最後に「ファンの人」の話になる。

これは三人の母親が揃って最後に語っていたので、スタッフからの一つのテーマとして

お願いしていたのかもしれない。「ファンあってのバンドだから」と

メンバーのお母さんたちから言われて、どうしようもなくこみ上げてしまう。

 

最後の山中さわおもやはり笑いが起こる場面はありつつ、最後に

お母さんが「メンバーは家族みたいなもの」と言うと

 

さわお「そうだよ」と答えた字幕が映る

 

ここで母親ナレーションが終わり。

 

 

「聴こえてくるのはキミの声」

 

 

演奏はなく、ただ暗闇に彼の声が響く。

 

おそらくみんな今夜も「連れてってやるよ!この世の果てまで!」

ワー!!

 

みたいなのを想像してきているはずなので。

正直頭に曲名が出るまで数秒の空白があった。

よくわからない涙も溢れた。

 

紛れもない特別な夜が始まった。

 

いつもドラムだけではFunny Bunnyと悩むのだが

二曲目ならMY FOOTだな、みたいな当て方が出来ます。

 

そこからBlues Drive Monster。

Aメロからのギターがライブだとクリアなのが好き。

 

簡単に挨拶が入りアナザーモーニング。

スケアクロウがこの位置に来る時点でもうセトリの予想はあまり出来なくなってた。

 

バビロン、I know youはファンになったばかりの頃の王道。

バビロンのベース単体になるパートでは有江さんを指差しちゃいます。

 

50になっても「俺はサリバンになりたいんだ!」

 

サリバンのギターソロが化け物じみてカッコよかった。

 

これまた「その未来は今」?と一瞬悩むLAST DINOSAUR。

 

----

 

果てまでが終わってから一度涙腺は収まっていたのだが、

やはりPlease,Mr.lostman・・・多分このライブアレンジのイントロも

ここに来るようなお客さんなら九割はわかってんだろうなと思いつつ

本来のイントロが鳴り響くのを待つこの瞬間。

 

「ねじ曲がった時代なんて関係ない 僕らは出会った」

 

それが全てだろう?

 

今この瞬間、全てだと言い切れるこの瞬間。

遙か遠いステージに手を伸ばした。

 

No surrender、敢えて経緯は書かないが、

武道館の時から色々あって「特別感」が増した曲。

また映像で見たらキレイに揃ったシャウトが聴けるんだろうな。

2番の始まりのドラムとギターソロが好きです。

 

少々意外だったKim deal。

こんな時間と空間を作れるのは僕らにとっては

世界中探してもキミしかいない。

 

「ぼくはかけら」もアニバーサリーでは定番の一つか。

確かに古い曲ではあるものの、初めてリアルタイムに

購入したアルバムがペナルティーライフである自分からすると

割とハマりたての時の曲というイメージがある。

 

何より全パート、歌詞、どれもこれも素晴らしい。

締める時のベースのフレーズなんかも痺れます。

 

1989、武道館の時は演出で泣かされた思い出のある曲だけど、

シンプルな絵でも曲の力で結局泣いちゃうんだな。

 

僕はまた群れながら来ましたよ。

 

ニンゲンドモ。新譜から来るならこれだと思っていた。

1989からだと「色々経ても僕は僕」って感じがしますね。

 

雨上がりに見た幻がハイブリッドレインボウの助走みたいに

なっていた時期があったと思うんですけど、今回は単体でじっくりと。

生きた証と僕らの誇りは今ここにある。

 

ここからサードアイ!やはり次が読めないセトリである。

目が出てきてピカピカ光る映像のことは一旦忘れて、

三人別カメラで抜かれる絵がカッコよかっただろ!

 

「イエーイ!!」からの山中さわおギターソロがやはり格別に好き。

 

そこから今のアレンジのアドバイス

これもPeeちゃんの狂気を感じるソロが好きだなあ。

 

 

そして皆口を揃えて「ここでミスがあって空気が良くなった」というSwanky Street。

見栄を張りたくないので正直に言いますが、僕の耳ではここまでも

「今日、声出てるな~演奏もキレキレだな~」と思っていました。

 

その後の「俺たちやっぱり横浜アリーナでやるようなバンドじゃねえんだよ~」は

確かにいつもの風が吹いていたって感じはありますね。

 

僕も映像化のときもこれは残してほしい派ですね。

やはり製品なので「途中、演奏が中断する箇所がありますが」みたいな

エクスキューズを入れるか、映像特典にするかというところですが。

 

しかも「僕らは間違いながら」ですからね。

 

About A Rock'N' Roll Band。

 

さっきから書いてて思ったけどやっぱり

ピロウズってドキュメンタリーだから歌詞と状況が

いちいちリンクすんだよな!今夜もロックンロールの引力は万能だぜ!

って書いたら俺の感想なんて要らねえんだよな!!!

 

Come on! LITTLE BUSTERS!

 

狭いなら狭いなり、アリーナならアリーナなりの騒ぎ方があるものです。

からのReady Steady Go!で銀テープ登場。叫んでばかりの二曲です。

 

ここで本編終了。皆様おそらく

「あれとあれとあれはアンコールだな」という計算をしつつ

見送ったところもあるでしょう。

 

 

果たしてのアンコール一発目はストレンジカメレオン。

あくまで個人的に、アラバキのが凄くやばかった

(散々色々なコラボ後にオリジナルメンバーに戻って

涼しい空気の中で演奏されたストカメにやられたんですよ)

 

 

そこからのハイブリッドレインボウ。

多分、この流れで演奏されることって凄まじくレアじゃないですかね?

 

最近ライブで聞くと静かに聞き入るようにしているんですが、

今夜は特別な夜なので拳を上げました。

 

ここで今一度ステージを去るメンバー、

多分ここでの発言だったと思う、

 

さわお「俺は音楽業界を信じていない。けど、キミたちは信じたいよ。」

 

そしてThank you, My twilight。

 

最近は本編終了後に曲が流れても手拍子だけ続くようなことが多くなったんですけど、

10年ぐらい前なんかは基本的に全員合唱していましたよね。

 

Thank you,My twilightは武道館での思い出云々より前に

最初にハマったアルバムのタイトル曲なので歌えないわけがないんですね。

 

本当に気持ち良い時間だった。

 

そこからRide on shooting star、Funny Bunny。

ライドンは普通に楽しく揺れてたし、満を持してのFunny Bunnyも

武道館のような圧倒感とか、例の「今夜はキミのため」

MCのあとの多幸感みたいなものではなく、ただいつも通り、

良い演奏をという感じだったかな。

 

会場の歌声が聞こえにくい位置だったからのような気もします。

 

---

 

更にアンコールがあるかはわからなかったし、友達二人含めて

新幹線の時間で会場を後にする人も出始めた頃、最後のアンコール。

 

 

 

最後に。

20歳にも、50歳の人間も支えるシンプルな哲学、

それはロックンロール。

 

これで今回の「About A Rock'N' Roll Band」はおしまい。

 

そして、続いてくれ。

f:id:fuga_maito:20191017214927j:plain



 

*1:勿論僕にとっては